読書

一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> / 沢木耕太郎(著)

この本の"1号線"とは、ベトナムを南北に走るホーチミンからハノイまでの道のり。この道をバスで走破する。 ホーチミンからのメコンデルタ格安ツアーは、私も以前にひとり旅で参加したことがあるので懐かしかった。シンカフェとキムカフェという2つの"カフェ…

色即ぜねれいしょん / みうらじゅん(著)

仏教系男子校に通う乾純(イヌ)は、文科系でボブディラン好き。自作のフォークソングを熱く歌うが、彼女歴が無いのが悩み。そのイヌが夏休みに友達と隠岐島に旅行に行くことでちょっぴり成長する、みうらじゅんの自伝的青春小説。 さすがみうらじゅんだけあ…

天使と悪魔 / ダン・ブラウン(著)

もうすぐ映画化されるとのことで本屋に文庫版が平積みしてあったので、会社帰りに何気なく上巻を買ってみたら、面白すぎてその日のうちに読んでしまって、次の日の会社帰りに中を買って読み、その次の日に下巻を読了した。エンターテイメント小説としては極…

石の扉 フリーメーソンで読み解く世界 / 加治将一(著)

暇つぶしに読んでみたのだけれども、なかなか面白かった。 著者がちょっと胡散臭いのだけれども(笑)、述べられている「事実」については信憑性があるし、「仮説」の部分も興味深い。 特に「第五章 解き明かされる明治維新の裏」の内容にはびっくり。フリー…

ティファニーで朝食を / カポーティ(著)村上春樹(翻訳)

他の翻訳では読んだ事があったけれども、村上訳で改めて読んでみた。 物語全体のイメージやホリーの魅力は、以前の訳で読んだ時とあまり変わらなかったのだけれども、一番びっくりしたのがホリーの瞳についての記述。以前の訳では確か「斜視」となっていたの…

朗読者 / ベルンハント・シュリンク(著)松永美穂(翻訳)

久々に、本を読んで感動した。主人公のミヒャエルは戦後のドイツに生まれ、15歳のときに20ほど年上の女性ハンナと激しい恋に落ちる。しかしやがてハンナは失踪してしまう。 ナチスという歴史をもつドイツにおいて主人公は、戦争を生きてきた親の世代をどう理…

イニシエーションラブ/乾 くるみ (著)

半年くらい前に読んだのだけれど、ミステリー繋がりで思い出した。 良く知らずに買って読んだのだけれど、この小説にはやられた!「最後の2行」がキーなのだけれども、この2行を読んだ時の驚きと言ったらもう。 始めからかなり陳腐な恋愛小説風だったので、…

流星の絆/東野 圭吾(著)

連ドラで話題の『流星の絆』を読んでみた。まあドラマは見ていないのだけれど。 面白かったので、半日で一気に読んでしまった。ただ、面白くて読みやすいから一気に読める反面、少し物足りない気もした。 私はミステリーやサスペンス小説はあまり読まない方…

〜冷血

カポーティの『冷血』を読み終わった。 キャンザス州ホルカムで実際に起こった一家四人殺人事件を書いた、ノンフィクション・ノベルである。 小説家がノンフィクションを書いて面白いのか?とはじめは思っていたけれど、事実であると認識するほどに引き込ま…

〜恥辱

南アフリカのノーベル賞作家、J・M・クッツェーの99年の作品。 主人公デヴィッド・ラウリーは文学教授であり、バイロンやワーズワースなどロマン派詩人に傾倒している。またどうしようもない女性好きで、挙句の果てに学生へのセクハラで職を失う。 読み始め…

〜世界が完全に思考停止する前に

これは、森達也が2003〜4年ごろ新聞・雑誌などに執筆した文章をまとめた本で、近頃文庫化された。 たしかに「まっとうな意見」だと思う。小難しくないけどよく分かる。 「タマちゃんを食べる会」という見出しにピンと来た人は読んでみると良いと思う。 世界…

〜NEUTRAL

読書というほどのものでもないが、季刊雑誌『NEUTRAL』の最新刊、インド特集号を買った。 カラーの写真がたくさん載っているし、各々の特集も面白いし、保存版だな。 楽しみにしていたサドゥーの特集も良かったけど、シューベルト綾の記事には本当に驚いた。…

〜深夜特急

沢木耕太郎の『深夜特急』を1巻〜6巻まで全部読んだ。 ドラマ「劇的紀行 深夜特急」の方は観たことがあったけれども原作は初めて。 ユーラシア大陸を乗合バスで横断する行程は、旅行記として面白すぎるほど面白いのだけれども、それに加えて彼が考えること、…

〜博士の愛した数式

『博士の愛した数式』をようやく読んだ。 もともと小川洋子は好きなので、楽しみにしてたけど、期待以上に良かった。 物語はけっこう平凡なのだけど、あちこちにちりばめられた数学のエッセンスがとても面白く、読むうちにどんどん夢中になる。 タイガースの…

〜黒い時計の旅

スティーブ・エリクソンの1989年の作品。 けっこう前に読み終わったのだけど、感想を書くのがなかなか難しくてほったらかしにしていた。とはいえ、すごく面白い作品。 時間・場所がバラバラのお話が次々と進行し、読みながら頭の中がぐちゃぐちゃにされるのだ…

〜しょっぱいドライブ

大道珠貴の短編集で、表題作は数年前に芥川賞を受賞した作品。 「人間を描ききった」と帯に書いてあるからちょっぴり期待して読んだのだけど、何と言うひどい文章だ。 平仮名ばっかりで読みにくく、だらだら続くお話にも全く新鮮味がない。しょっぱいドライ…

〜東京タワー

リリー・フランキーの自伝みたいな本。 セカチュウでは全く泣かなかった私も、これは読みながらちょっと泣いてしまった。 親子愛をここまでリアルに描いた本はそう無いでしょう。 それに、わたしも子どもの頃5年くらい小倉に済んでいたから、方言とか小倉の街の感…

〜白夜行

東野圭吾のミステリー。現在テレビドラマでやっているらしい。 母親に借りて読み始めたら止まらなくなってしまい、一気読み。 東野圭吾は『幻夜』も読んだことがあったのだけど(こちらも母親の勧めで)、両作品ともヒロインの女性が美しく頭がよくそして悪…

〜春の雪 ―豊饒の海(一)

『暁の寺』に引き続き『春の雪』を読んだ。 最近映画化されたばかりだけれども、まさに映画化されるに相応しい、美しく悲しい恋愛小説だった。 しかし!本当に驚いたのは、『春の雪』が1個の完成された小説であるのと同時に、『豊饒の海』4部作の「起」とし…

〜東京奇譚集

村上春樹の新作であり短編集。 ここに収められているのは、「奇譚―不思議な、あやしい、ありそうにない話」をテーマにした作品だ。 私は『品川猿』がいちばん気に入った。 自分の名前が思い出せなくなるみずきが、不安になって品川区のカウンセリングへ行く…

〜豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫) ―豊饒の海(三)

『暁の寺』を読むきっかけは、インド・ベナレスの事が書かれているからという理由だったけれども、読み始めてすぐに、豊饒の海の一・二巻、『春の雪』『奔馬』から順を追って読まなかったことに少し後悔した。 重要らしき人物、松枝清顕と飯沼勲の事がよく分…

〜空中庭園

角田光代の『空中庭園』は、「何事もつつみかくさず」がモットーの京橋家について、ママ、パパ、娘、息子、祖母、家庭教師がそれぞれ1章ずつ語る形式になっている。 それぞれの登場人物の視点で書かれた物語を読み進めるにつれ、各々が持つ秘密や思いが次々…

〜緑色のストッキング

箱入り版の安部公房『緑色のストッキング』(新潮書き下ろし劇場)は、ブックオフにて¥100で購入した。 Amazonのマーケットプレイスでは同じ版が¥2,600で売っているのだけど、ブックオフが値段を間違えたのかマーケットプレイスが高すぎるのか。 さて、『…

〜深い河

ずっと前に読んだ事があったが、インド旅行中に再読。 インドの聖地「ベナレス(ヴァーラーナスィ)」の名を知ったのはこの本だった。 様々な人間のエピソードが出てくるが、なんと言っても大津の生き様が印象深い。 キリスト教の家庭に育ちながら、あまりに…

〜バートン版 カーマ・スートラ

”カーマ”は愛、”スートラ”は教え。カーマ・スートラとは愛と性の深淵を丹念にかつ実践的に探求した、古代インドの愛の教典である。二千年の時を経てもなお、すべての男女にエロスの神秘を伝えつづける不朽不滅の古典。 インドの古典の中ではこれが面白そうだ…

〜インドでわしも考えた

椎名誠がインドを旅したエッセイ。 インドに行くことになった。毎度ながら別にたいしてスルドイ目的意識やテーマというものはない。それじゃあこのへんでそろそろインドへ行ってみましょうか?うーんそうですなあ、というような程度である。しかしインドとい…

〜熊の場所

お次は舞城王太郎の『熊の場所』という短編集。 どれも、お話は悪くないのだが、短中篇小説としては、文章が荒すぎると思う。 長編なら「はいはい」って読み飛ばすのだけど、短編でこの文章だとちょっときつい。 3編の中では「ピコーン」が一番良かった。 熊…

〜箱男

安部公房の『箱男』を読んだ。 ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男が、箱の中で、箱男について書いた小説。 一切の帰属を捨て去り存在証明を放棄した箱男は、ダンボール箱の形で都市に身を置く。 世の中との繋がりは、目の役割となる…

〜59番目のプロポーズ

話題のソーシャル・ネットワーキングサイトmixiで圧倒的人気を誇った『アルテイシア日記』。「AERA」や「英国タイムズ紙」で大々的に紹介された、アクセス数15万人を誇る話題の日記がついに書籍化。老若男女が爆笑しつつも涙した、笑いと感動の「キャリアと…

〜予告された殺人の記録

初めてガルシア・マルケスを読む。 面白かった。こういう、人間臭い物語を、わたしは好きだ。 これは『百年の孤独』も読まないと。 あらすじはこうだ。 盛大な結婚披露宴の次の朝、サンディエゴ・ナサールが惨殺される。 彼が殺されることを町じゅう誰もが知…