一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> / 沢木耕太郎(著)

この本の"1号線"とは、ベトナムを南北に走るホーチミンからハノイまでの道のり。この道をバスで走破する。
ホーチミンからのメコンデルタ格安ツアーは、私も以前にひとり旅で参加したことがあるので懐かしかった。シンカフェとキムカフェという2つの"カフェ兼ツアー会社"があって、似たような内容のツアーを格安で提供しているのだ。ちなみに私はシンカフェを利用したが、沢木さんが選んだのはキムカフェ。このツアーでは、お菓子の生産現場などに色々と案内されるのだけれども、「風に吹かれて黄土色のメコンの河の色を見ているだけで満足」という気持ちに、すごく共感した。
それにしても、地図も持たずに街をぶらぶらして、美味しい食堂を見つけ出してバイタクを乗りこなすあたりは、さすが旅慣れた沢木さん。30年以上の月日が経っているので「深夜特急」の沢木耕太郎とは旅のスタイルが全く違うけれども、旅を楽しんで、旅先で偶然起こる幸せをちゃんとキャッチしている。私も、幾つになっても身の丈に合った幸せな旅が出来るようになりたいな。

一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> (講談社文庫)

一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> (講談社文庫)