〜東京奇譚集

村上春樹の新作であり短編集。
ここに収められているのは、「奇譚―不思議な、あやしい、ありそうにない話」をテーマにした作品だ。
私は『品川猿』がいちばん気に入った。
自分の名前が思い出せなくなるみずきが、不安になって品川区のカウンセリングへ行くのだが、少し変わったカウンセラー坂木が出てきて、最後には猿まで登場して、滑稽で楽しい。
誰からも愛されず、誰も愛せない、そんなみずきを猿がカウンセリングしてしまう所が、あたたかい。
ああでも、短編集としては『神の子どもたちはみな踊る』の方が好きかも。
次の長編作品が楽しみであります。

東京奇譚集

東京奇譚集