ティファニーで朝食を / カポーティ(著)村上春樹(翻訳)

他の翻訳では読んだ事があったけれども、村上訳で改めて読んでみた。
物語全体のイメージやホリーの魅力は、以前の訳で読んだ時とあまり変わらなかったのだけれども、一番びっくりしたのがホリーの瞳についての記述。以前の訳では確か「斜視」となっていたのだけれども、新訳ではただ視力が悪いだけだという。もちろん新訳が正しいのだろうけれども、この違いは大きい。
それにしても、改めて読んでみてもやはり魅力的な物語だ。実は映画は見たことがないのだけれども、訳者あとがきによると『カポーティはヘップバーンが映画に主演すると聞いて、少なからず不快感を表したと伝えられている。おそらくホリーの持っている型破りの奔放さや、性的開放性、潔いいかがわしさみたいなところが、この女優には本来備わっていないと思ったのだろう』とある。
確かにその通りだ。あの映画のポスターからして、ホリーのイメージとは全然違う。まあ、映画は映画で違う魅力があるのだろう。映画も見てみたくなった。

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

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