〜阿部和重

流行に乗って風邪をひき、微熱のため会社を休んだ。
「たまには風邪もいいかも」など思いつつ、久々に家でゆっくり、読書などして過ごす。
今日読んだのは、阿部和重グランド・フィナーレ』と、舞城王太郎阿修羅ガール』。
グランド・フィナーレ』は、ご存知、最近芥川賞を受賞した作品である。
阿部和重の作品を読むのは『インディヴィジュアル・プロジェクション』以来2回目だったが、私は読書で「面白い」とか「なんか気になる」とか思ったら、必ずその著者の他の作品に手を伸ばすので、『インディヴィジュアル・プロジェクション』1作しか読んでいなかったということは、どうやら阿部小説をあまり気に入らなかったらしい。(実際ストーリーもあまり覚えていない。主人公が渋谷の映画館でバイトしていたっけ。)

それでは受賞作の感想を。
テーマは面白いし(ロリコン趣味が妻にばれて離婚させられた男の話)、文章も安定していて上手なのだけれども、肝心のストーリーが面白くない。
最初のうちは、ロリコン男の一人称語りと行動が面白くてどんどん読み進んだのだけど、後半の地元に引っ込んでからの物語は単調で、一気にスピードダウンしてしまった。
前半から後半へかけて、主題はゆるやかに幼児への性愛から死へと移ってゆく。
しかし、前半に比べて後半が薄っぺらいと感じた。
結局、神町で出会った2人の少女によってこの男はどう変わったのか、よく分からないまま終わってしまう。
グランドフィナーレというからには最後に何か起こるんでしょ、と思わせておいて、そこが書かれていない。
敢えてフィナーレを書かなかったのだろうけど、ここは書いて欲しかった。

グランド・フィナーレ

グランド・フィナーレ