〜反日デモ

週末に上海で数万人規模のデモがあった事は皆さんご存知の通りだけど、あの映像は何度見ても唖然としてしまう。
デモ隊は日本語の看板を見つけては石と卵を投げつけ破壊し、日本車を見つけてはボコボコにし、私と同じくらいの若い女の子も、手を振り上げて叫んでいる。
これはもう尋常ではないとしか言いようがない。
当初のスローガンであった「靖国参拝反対」「常任理事国入り反対」は今や薄れ、ただ、向ける方向の良く分からない怒りや忌み嫌う気持ちを、発散しているように見える。
日本の大企業の殆どが進出し(うちの会社も事務所がある)、至る所に日本製品が並び、そして大量に消費されているあの街で、日本風のファッションに身を包んだ女の子に「抵制日貨!」と言われても、疑問は深まるばかり。
本当に日本に対する怒りなのだろうか。よく分からなくなってきた。

中国の人々は歴史の授業で、日中戦争以降の日本人による中国人への酷い行為を、事細かに教えられているという。
しかしその一方で、日本の流行は最新のオシャレであり、若者はこぞって日本のマンガやファッション誌を読み、J-POPを聴く。
彼らはきっと、板ばさみ状態なのだ。
ゴダールの言うところの「マルクスとコカコーラの子供たち」(映画『男性・女性』の副題。社会主義に傾倒する一方でアメリカのポップカルチャーに影響される若者が出てくる映画)みたいだ。
板ばさみなのは文化面だけではない。
市場主義と社会主義という両面性、貧富の差、色々なところに歪みがある。
上海を歩いていると「日式〜」という看板を良く目にするが、その看板は、ある時は格好の宣伝文句に、ある時は憎しみや暴力の標的になるのだ。

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